カレー沢薫の労働と日々

会社員兼漫画家・コラムニストのカレー沢薫さんが、働くことの意味と意義と徒然をイラストとエッセイで綴る連載。第1回のテーマは「複業」。

老後は野垂れ死ぬしかない。

これは私個人の話ではない、清々しいほどに我々の老後には明るい話がない。

人間は「生きているだけで金がかかる」というどんな低知能生物ですらやっていない、正気を疑うシステムを何故か作ってしまったため、歳をとり収入を得られなくなった後でも金が必要なのである。

しかし、年金が今より満足にもらえなくなるだろうことは確実だろうし、老後の貯蓄も数千万必要等、天文学的数字を求められている。

それ以前、老後どころか、リアルタイムで今生活が苦しい。

子どもがいれば老後面倒を見てもらえるというのも、もはや都市伝説であり、スカイフィッシュと同カテゴリだ。

子どもも自分の生活で手一杯、それどころか子どもが定職につけず、共倒れというケースも増えているらしい。

先日、私より年上で同じく既婚子なし女性と、老後どうしたら良いか話し合ったところ「安楽死合法化を神に祈る」という結論になってしまった。それか還暦を越えたら光合成できるようにしてほしい。

最近ではサラリーマンはサラリーマンだけやっていると老後破産するとまで言われている。

「普通に働いてたら死ぬ」とは、我々は一体何の地獄に生まれてきたのか。

しかし一つだけ前より良い点がある、昔だったら収入を得る手段と行ったら、会社などで給与を得るか、作ったものを売るか、もしくは拾った物を売ったり食ったりするなど、とにかく限られていたはずだ。

だが今は働き方が多様化している、必ずしも会社に勤める必要も、何かを作る出す必要もなく、働く場所も時間も問わなくなってきているのだ。

逆に、エブリデイ、エブリタイム「仕事ができない」という状況がなくなったという、新地獄になったとも言えるが、ともかく「収入の得方が格段に増えた」のだ。

そして第一回目のテーマは「サラリーマンだけやっていたら死ぬ」と言われたからには、素直に死ぬか、他で収入を得るしかない。前置きが長くなったが当コラムのテーマはそんな「働き方」である。

というわけで「安楽死」である、と言いたいが残念ながら「複業」である。

収入源を複数持ては、その分収入は増えるし、仮に一つが絶たれても、まだ他にあるから大丈夫、ということにもなる。

だがこれは、会社でフルタイム仕事をした後、コンビニで深夜バイトをしろということではない。それだと、老後が来る前に過労死する、という老後対策になってしまう。

あくまで、体力や睡眠時間、寿命を削らない方法でないといけないし、場所や時間も問わない方が好ましい。

私などは、昼間会社員をしながらこのような文章や漫画の仕事をしているので、まさに複業だが、作家業というのは、まず依頼がないと始まらない。最近では出版社やクライアントを通さず収入を得ている作家もいるが、私はまだ昔ながらの手法だ。

依頼があったとして、連載がはじまるまで間があるし、漫画家など、依頼を受け、ネーム(草案)を出してもそれが没になって話自体流れることもある、もちろんネームに対する支払いはない。

また始まったとしても、不人気や不人気とかで、打ち切られ突然収入がなくなることもある。

つまり、安定的、長期的に収入が得られる仕事ではないのだ。何より、体力とか寿命とかが普通に削られる。

つまり、複業を持つなら相手の都合に振り回されることなく、自分一人でできるものがいいのである。

というわけで、サラリーマンが仕事の片手間に、一人でできる複業を調べてみた。

まず一番に出てくるのがFXなどの投資である。

確かに労働するより今ある金を増やす方が楽だ、しかも投資なら時間や体力も使わないし、どこでもできるだろう。

だがこれは、向き不向きがあるのではないだろうか。

ちなみに私はギャンブルはしないが、ソシャゲが好きで、目当てのキャラが出るまでガチャが止められないタイプだが向いているだろうか?

増やすつもりで元あった金までなくなったら老後を待たずして「安楽死」でググることになりそうなので、これは除外しよう。ぜひ理性に自信がある人はトライしてほしい。

次にでてくるのが「webデザインやライティング」の仕事だ。

前者は多少、知識や技術が必要そうだが、ライティングは商品のレビュー記事など文章を書く仕事なので、PCとネット環境、あとは日本語を3単語以上知っていれば可能だろう。

しかし皆がライティングを始めると、私に回る仕事が減るのでこれもお勧めできない。

最後にアフィリエイトだ。

自分のHPなどに広告を貼り付け、広告収入を得ることだ。

これはブログなりHPなりを作り、広告バナーを貼り付ければいいだけなので、簡単と言えば簡単だ。

しかし、これは広告が表示、またはクリックなどをされないと収入にはならない、よってアクセス数を増やすための努力が必要なのである。

アクセス数をふやすには検索サイトの上位に表示されるようにする等あるが、一番重要なのは人が興味を持つようなコンテンツを提供することである。

人が興味を持つといったら、食い物、可愛い動物、エロ、金儲け情報などがあげられる、最後の方、本末転倒した感があるが、集客のために時間、もしくは金をかけて作ったコンテンツが不発に終わると、ある意味損したような状態になってしまう。

また最初からアフィリエイト目的サイトなら良いが、何かの拍子でブログがバズり、アクセスが急増したため、せっかくだからと広告を貼ると「金儲けに走りやがった」と怒り出す人たちもいる。

リアルで嫌われるのも辛いが、ネットで嫌われた場合、リアルじゃない分攻撃も容赦がない、人間は叩かれたら埃がでるし、叩かれ続けると死ぬ、しかも全く安楽ではない。

そういったリスクや、己の技量やセンスが問われるアフィリエイトだが、やろうと思えば元手ゼロでもやれるので、やってみる価値はあるだろう。

ちなみに私も10年ぐらい前、無職を極めていたころ自身のブログでアフィリエイトをやっていた。内容はニートの日記やゲームの感想、自作の漫画だったので大したアクセスはなかったが、それでも月1、2万の収入があった。

「複業」には程遠い額かもしれないが、バカにできない額である。これだけあればガチャが何十連できるかわからない。

「今すぐガチャをやめる」

これが一番の老後対策かもしれない。

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