三越伊勢丹ホールディングスの「スナック」って!?

社員が自ら学ぶ場を生み出すことで、新たなコラボレートが生まれたり、時短が自然に実現されたり…。次々と嬉しい副産物が生まれる、夢のようなプロジェクトを行っているのが三越伊勢丹ホールディングス。そのプロセスを聞かせてもらった。

働き方改革から、思いがけない副産物が続々と

「働き方改革に対する取り組みはすごく遅れている」と語る、三越伊勢丹ホールディングス グローバル人材本部人事企画部部長 藤森健至さん。でも、実際のところ、さまざまなプロジェクトに取り組み、すでにおもしろい成果が出つつあるという。「百貨店という業種柄、『早く帰るのは無理』という考え方からどうしても抜けられないんですよね。でも一昨年から、まずバイヤーなどの部門から、ノー残業デーをしっかり実施しようということになりました。フレックスタイム制だから何時に帰っても良いんですが、夕方から映画好きの社員が社内のカフェスペースに集まるようになり、映画鑑賞サークルみたいなものができたんです。そして、そのメンバーがアクションを起こしたことがきっかけで、映画監督さんとの接点につながって、そこからつながった某音楽&アートのフェスの主催会社とのコラボビジネスが新宿伊勢丹で実現したんです。人が集まると新しいものが生まれるんだ!と実感しましたね」。

人が集まると新しいものが生まれるんだ!と実感しました

新しい働き方へのイノベーション労働時間の見直しを機に、ユニークな取り組みもスタートした。それがタイトルに掲げたスナック=SNACK。薄暗いバーを連想させる(?)このネーミングだが、「Skill(技術)」「Network(ネットワーク)」「Attitude(姿勢・振る舞い)」「Communication」(コミュニケーション)」「Knowledge(知識)」の頭文字をとったもので、社員の主体的な学びを促す仕掛けだという。

ひとことで言うと、社員同士の学び合いの機会だ。「朝8時半と夜8時半に、任意参加の学びの場を用意しました。社員が講師を務めるのですが、朝ヨガ、シャンパンやワインのウンチクについて語る夜など、扱う分野はさまざま。仕事やプライベートで身につけた特技やスキルを、講師役の社員が他の社員にシェアします。昨年1年ではのべ1,600人くらいの社員が参加したのですが、参加社員からは5点満点で4.5点という、まずまずの高評価を得られています。参加者データを見ると、参加者の30%は契約社員だったのですが、彼らには社内の教育制度が充分行き渡っていなかったので、学びの場ができたことをすごく喜んでくれているということがわかりました」。

3年後には年間のべ1万人の参加を目指す。「現状でも、例えば銀座店や日本橋店に勤務する社員が8時半までに『SNACK』の会場である新宿店に行こうとすることで、退社時間が早くなる、なんていうことも起こってきています。とはいえ、全社的に早く帰ろうという雰囲気につなげるにはまだまだです」。そう謙遜するが、実際のところ、「SNACK」の存在が社内インキュベーションのような働きをし始めているという。

「それまで若手社員がメンズ館で10人くらい集めてやっていたExcelの勉強会があったんですが、『SNACKでやりなよ』と提案したら、一気に80人くらい集まるようになって。『ショートカットキーの一覧を、全社に配ってもいいですか?』なんて、イキイキとした表情で言うんです。他のスタッフのスキルアップにもつながるし、スキルを分け与える側のスタッフのモチベーションにもつながる。これからスナックをどんなふうに進化させようか、ワクワクしますね」

「とにかく今は『働き方を変えてみて、そのメリットもデメリットも実感してみよう』とトライしている段階。まずは人事担当のスタッフ全員が、在宅勤務に挑戦しています。実際にやってみると、『通勤しないとこんなにストレスがかからないんだ!』とか『仕事が終わった瞬間に子供と遊べる!』など、いい実感の声が届いています。次はその『実感』の輪をどうやって広げていくか。それが我々の課題だと考えています」。

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