様々な文化が混在するFintech企業でデニムフライデーを導入したらどうなる?

8月10日公開のDENIM FRIDAY JOURNALでインタビューした藤本あゆみさんがシニアコミュニケーションズマネージャーとして勤務する「お金のデザイン」という会社。前回インタビューの際にお聞きした同社のファッションヒストリーがあまりに面白かったので、「では御社でデニムフライデーをやってみませんか?」と提案。服を変えることで働く人にどんな変化が起きるのか? 今回はその第1回として、キックオフミーティングをリポートする。

「デニムフライデー」×「お金のデザイン」、キックオフミーティングはテレカンでスタート!

13時から始まる予定だった初回ミーティング、「お金のデザイン」を代表して出席する予定の取締役COO・北澤 直さんが、出張からの戻りが遅れているという。そこは「新しい働き方」を志向するこの会社。藤本さんの「じゃ、繋いじゃいましょうか」のひと言で、オフィスに向かうタクシーの中の北澤さんと、ギャップジャパンの小神野直子さんを中心とするDENIM FRIDAYチームとのテレカンファレンスがスタートした。

「まずはうちの会社の現状について説明しますね」と北澤さん。「弊社は、ロボアドバイザーによる資産運用サービス『THEO(テオ)』を提供しているFintech企業です。通常、資産運用といえば数百万円単位で行ったり、運用するのに3%などの手数料がかかったりするので、富裕層でなければ行えないというイメージが先行しますが、THEOなら手数料は年間預け高の1%と決まっているうえ、今年の8月24日(なんと取材当日だった!)からは1万円からスタートできるサービスに変更しました。ユーザーの51%は20代〜30代、また89%が「投資はほぼ未経験」という方で、金融の慣習にとらわれず、どこまでも『ユーザーファースト』のサービスを提供したいというのがコンセプトです」

そう、まさに金融業界において「新しいビジネス」を提案する会社だ。

「お金のデザイン」取締役COO・北澤 直さん

「このプロジェクト自体は、参加企業の方はいつ始めていただいてもいいし、こちらからの強制力も何もありません。ただカジュアルなファッションで仕事をすることに抵抗がある人や、そもそも『デニムを持っていない!』という人に対して、スタイリングの提案などのサポートを行います。ここでDENIM FRIDAY事務局からも、このプロジェクトがどんな仕組みなのかを紹介することに。

このプロジェクトを立ち上げたギャップジャパンはアメリカの企業ですが、1969年の創業以来、社内では『Do more than sell clothes.』といって服を売る以上のことをしよう、と提唱されてきました。また同時に、顧客に対してもスタッフに対してもダイバーシティー&インクルージョン、多様性を認め、個を尊重することを掲げてきたのです。そんな中、働き方改革が叫ばれる今の日本でギャップジャパンにできることはなんだろう、と考えた時、ファッションで新しい働き方を提案しよう、という考えに辿り着いたのです。働く時間というのは一生のかなりの割合を占めますが、その時間に個性を封じ込めるファッションで過ごすことは、本当にいいことなのだろうか?という疑問に至ったことがそもそもの発端。本当は、一人一人の個性が最大限に発揮できている時こそ、仕事のパフォーマンスも最高潮に達するのではないかと私たちは考えています。ギャップのデニムを穿いてもらわなくても、もちろんそもそもデニムでなくてもいいけれど、『デニムもOK』になることで変わるものがあるんじゃないかと思うんです」

ここで大きく頷く北澤さん。というのも北澤さん自身、今でこそラフなTシャツ姿で働いているものの、かつてはバリバリのスーツマンだったのだ。

「僕は弁護士を6年経験した後、モルガン・スタンレー証券で投資銀行員として6年働いてきました。投資銀行員っていうのは身を粉にして働くぶん給料もすごくいいんです(笑)。でもお客さんあっての商売なので、服装には気をつける。
それでオーダースーツなんだけどダークネイビーの無地とか、こだわりの時計なんだけどロゴも入っていない白フェイスの黒革ベルトのタイプだとか、密かにギリギリのおしゃれを楽しんでいましたね。それはそれで楽しいけれど、多くのビジネスマンを見ていて思うのは、スーツはユニフォームだと諦めて、おしゃれ心を忘れてしまっている感じ」

「それは側で見ていてもわかってしまいますね。自律的選択ではなくて同調先行。そういう姿勢が働き方全体につながってしまうのではないかと。だから今回、ファッションからそういう思考をアンロックできればと思ったんです」と、藤本さん。

会話が弾むなか、北澤さんを乗せたタクシーが「お金のデザイン」のある都内某所ビル前に到着! 息を切らして会議室に登場した北澤さんは、ネイビーブルーのTシャツにデニム姿。そんなファッションに身を包む北澤さんに、ファッションの変化に伴う気持ちの変化があったのか、聞いてみた。

DENIM FRIDAYのプロジェクトチームにとっても、今回の取り組みは、服装と働き方を考える良い機会になると思います

「ファッションの変革を通して、自律的選択のできるビジネスパーソン集団になりたい」。そんなゴールが見えてきたところで、さらにヒアリングを進める。現状、社員の皆さんは、どんなファッションで働いているのだろう?「ザ・スーツ」なファイナンスチームと、カジュアルすぎるエンジニアチームをどうつなぐ?「自分自身を振り返ると、確かに最初は抵抗がありましたね。イベントに登壇するような時は会社のロゴ入りのTシャツを着るんですが、ある意味お祭りの法被みたいなものとして着ていた感じ。でも、周りから『似合ってますよ』と言われて、その後普通の日にもTシャツ&ジーンズで働くようにしてみたんですが、『今日お休みですか?』なんてコメントもあり、案外、人って自分の服装を見ているもんだなぁ、と。でも結局は慣れの問題ですね。元々、僕はスケボー文化が好きで、プライベートではスケボー用のデニムとか、マニアックなものを探して着たりしていたので、仕事にも着て行くようになったことで興味が広がりましたし、自分のバックグラウンドをファッションで表現できる楽しさを実感しています。また社内では、Tシャツの色がカブったりすると『あ、今日一緒ですね!』なんて会話もあったりして、なかなか面白いと思います」

「この会社は2013年に創業したんですが、もともと、創業社長はとても熱い真面目な想いを持った人で、当時はファッションに関しても『人に信頼されて大切なお金を預かる以上、ジャケットとシャツは着なきゃダメだ!』というような考えを持っていたんです。創業当初は金融出身の社員も多かったのでそれほど違和感もありませんでした。ところが次第にエンジニアとして転職してくる若い社員が増えてくると、そもそも『会社はスーツを着るもの』という概念がない人も多い。また優秀なエンジニアを採用したいと思っても、そういう人は『スーツを着ているおっさん』の誘いには乗らない(笑)。それで少しずつカルチャーがミックスされてきたのが状況です」

比較的自然な形で『新しいワーキングファッション』が実現しているようにも聞こえる。「いや、そんなに簡単な問題ではないんですよ。当たり前の話ですが、ワーキングファッションの定義が人によって違うんですね。例えば短パンを履いてくれば、『それは脚出し過ぎじゃねぇか?』とか、(笑)。外資系の会社でも、ドレスコードというと途端に難しい話になり、結局ゴルフ場のルールを参考にしたり。一方で、グーグルみたいな会社だと”You must wear clothes”だったり。でも、せっかく様々な文化が混在しているこういった会社だからこそ、僕たちらしいワーキングファッションってなんだろうかと。

なるほど、意外と根深い問題かもしれない。とりあえずここで、DENIM FRIDAY事務局から提案を行う。「『お金のデザイン』の社員の皆さんにとっても、私たちDENIM FRIDAYのプロジェクトチームにとっても、今回の取り組みは、服装と働き方を考える良い機会になると思います。例えばお気に入りの服を持ってきていただいて、『この服で、仕事のモチベーションが上がるコーディネイトにするにはどうすればいいか』を一緒に考えることもできますし、デニムでもオックスフォードシャツにニットタイ、ジャケットと合わせて、ルーズに見えない着こなしをアドバイスすることもできます」

さて、実際に始めたら、一体どんな変化が起きるのか

デニムフライデーの導入は、不定期で行ってきたという9月のイベントに合わせて実施する予定。さて、実際に始めたら、一体どんな変化が起きるのか。随時レポートしていくので、乞うご期待!こんなやり取りを通して、お金のデザインチームとデニムフライデーチームはガッチリと握手を交わした(心の中で)。「少しおしゃれになるだけで自分もウキウキするし、周りの人との雰囲気も良くなる。お互いのことをもっと知りたいという気持ちが湧いてきて、コミュニケーションが変わると思います」とギャップジャパンの小神野さん。この提案に北澤さんも期待が高まった様子。「そもそもうちの会社はモットーとして『自分らしさをどれだけ出していくか』を重んじているんです。服装においてもそれが出せれば、働き方にも通じると思う。その先に、うちらしいカルチャーを育てていければいい。そのコンセプトにDENIM FRIDAYの考え方はとてもフィットしますね。でも、『とりあえず自分らしいファッションしようぜ!』って呼びかけてもそう簡単には変化しない。神は細部に宿る、じゃないけれど、そういう細かいところから一つ一つ意識を巡らせていくことが重要なんじゃないかと思います」

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